令和8年3月 定例議会
令和8年度施政方針
令和8年3月
令和8年3月
はじめに
令和8年度の市政運営に関し、私の基本的な考え方を申し上げ、重点施策の概要を説明します。
これまでの市政運営を通して、市民・地域・行政・民間がそれぞれの役割を認識し、互いの強みを活かす関係性が築かれてきました。「“つながり”住みたい、住み続けたいまちづくり」をさらに前進させ、小郡市の景色がより明確に変わり、市民が成長を実感できるように、新年度も市政改革に果敢に取り組みます。
令和8年度の主な施策
続いて、令和8年度の主な施策について、概要を説明します。
1.未来へのまちづくり
近未来の小郡市のまちづくりビジョンをより具体化していきます。「筑後小郡インターチェンジ周辺まちづくり構想」と「小郡鳥栖南スマートインターチェンジ周辺のまちづくり構想」を推進します。
- 筑後小郡インターチェンジ周辺まちづくり構想
筑後小郡インターチェンジ周辺まちづくり構想では、コストコ誘致による波及効果を生かします。面的整備推進ゾーンでの新たな産業立地、生活にぎわいゾーンでの住宅開発など、市と地元と事業者の官民連携による新たなまちづくりを前進します。また、新たな魅力創出ゾーンでは、この地域の公共交通軸である甘木鉄道に新駅整備に向けた取組を進めます。
交流ゾーンでの歴史文化活用も動き出します。花立山古墳群について、令和6年度に文化庁から「指定相当の埋蔵文化財」としてリストに登載されたことを受け、令和8年度中の国史跡指定を目指します。指定後には、周辺文化財も含め新たな観光資源として活用するための官民連携協議を進めます。
また、旧松崎旅籠油屋では、令和7年度に導入した指定管理者制度を活かして様々なイベント開催や飲食提供を企画する新たな文化財活用へのアプローチをはじめ、小郡市の魅力発信、交流人口の増加につなげます。
- 小郡鳥栖南スマートインターチェンジ周辺まちづくり構想
小郡鳥栖南スマートインターチェンジは、当初予想をはるかに超える利用が進んでいます。小郡市の強みである高い交通利便性が再認識される中、市の西部では、物流を中心とした大規模開発が活発化しています。スマートインター周辺にも開発の期待が高まっており、治水対策を踏まえた安心・安全な土地利用・地域活性化を丁寧に推進していきます。令和7年10月に施行した「小郡市雨水貯留施設等設置基準」の対象地区にも該当することから、治水対策に関し進出企業等と十分なコミュニケーションを取りながら取組を進めます。
近年、移住を希望する人々の多くは、豊かな自然環境での子育てを重視しています。これからの移住・定住策として、地域住民との交流イベントを通じて、自然豊かな地域の魅力を発信し、住民とのつながりを深めることで交流人口、関係人口の増加を目指すとともに、魅力的な自然環境や子育ち環境を生かしながら移住・定住を進めていきます。
また、宝満川左岸地域について、農業関連資本の誘導等による持続可能な農業の可能性を探り、地域の特性に合致したまちづくりを、地域や関係機関と協議調整を行いながら進めていきます。
2.誰もが住み心地の良いまちづくり
人と人がつながる共生社会を目指すため、安心して暮らせる環境づくりを大事にし、誰もが住み心地の良いまちづくりへ動き出します。
- ハラスメント防止
令和7年3月に施行した「小郡市長等、職員及び議員のハラスメント防止等に関する条例」に続き、12月には「小郡市ハラスメントの防止等に関する条例」を制定し、今年4月1日から施行します。
まずは市が率先して、市民や事業者に対する情報提供、福岡県弁護士会との連携による市民向け無料相談窓口の設置、研修講師派遣支援体制の整備など、あらゆるハラスメントの根絶・未然防止に向けた取組を具体的に進めていきます。
- 誰一人とり残さない共生社会の実現
誰一人とり残さない共生社会の実現のために、高齢者や障がい者、こども、生活困窮者など困難な課題を抱える人や、制度の狭間で支援が届いていない人に対し、市全体で包括的に支援ができるように、様々な部署や機関が”つながり、支え合う”体制を整えます。
高齢者や障がい者など要支援者の見守りは大きな地域課題のひとつです。従来の民生委員児童委員やふれあいネットワークによる見守り活動に加え、市民一人ひとりが近隣の方を気にかけるような、地域の実態に合わせた緩やかな見守りの関わりに向けて、地域のつながりづくりの理解を広げていきます。また、市民活動団体による見守り活動など、自治会だけでなく民間とも連携した多層的な見守り活動を進めていきます。
高齢にともない骨密度の低下する骨粗しょう症は、日常生活の質の低下を引き起こし、骨折による寝たきりの生活となってしまう危険性にもつながるため、早期発見・早期治療が大切です。骨粗しょう症検診を始め、健康寿命の延伸を図ります。
- 学び場・居場所づくり
幅広い市民の声を聞きながら、あらゆる世代の拠り所となる第三の学び場づくりを身近な施設と連携しながら推進するための制度設計を行います。また、年次計画を策定し、幅広い市民との連携・共働により「第三の学び場づくり」に取り組んでいきます。
また、これからの豊かなこども・子育ての環境づくりには地域社会の関わりがますます重要になります。そのためNPOや市民活動団体、「こどもまんなかサポーター(オゴサポ)」の皆さんと共働しながら、地域でこどもの居場所づくりやこども食堂などの取組を推進します。
さらに、幅広い世代の市民の利用来館を増やす工夫を行い、高齢者などの居場所づくりとしての図書館活用に取組みます。同時に、ヤングアダルト世代をはじめとした各世代の市民のニーズに応じたサービスの提供や、世代間交流ができる図書館主催イベントを増やすなど、市民の快適な居場所としての機能を有する図書館改革プランを策定し、取組を実行していきます。
3.子育ちに良いまちづくり
妊娠出産期、幼稚園・保育所、さらに小中学校にかけて切れ目のない支援を充実・強化し、子育ちに良いまちづくりに動き出します。
- 「こどもまんなか社会」の推進
「こどもまんなか社会」の実現のために、こども施策の基本理念となる「小郡市こどもの権利条例」を制定します。こどもの権利に対する認識を広く周知するとともに、家庭、学校、地域、関係団体などが一体となって、こどもの権利を守る取組を推進します。また、「おごおりトークベース」の取組によりこども・若者の意見表明の機会を作り、意見を市政に反映させるしくみづくりを進めます。
- こどものいる世帯への支援
こどものいる世帯の負担軽減をはかる施策として、医療費助成を拡大します。令和8年4月より子ども医療費助成の対象年代を高校生年代まで拡大するとともに、各年代の自己負担額を引き下げ、こどものいる世帯の負担軽減を図り、経済的な理由による受診を抑えることがないようにします。
また、令和8年度から新たに、産婦健康診査及び1か月健康診査を実施することで、妊娠期から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を充実させます。これにより、疾病や成長の課題を早期に発見し、母子の健康の保持・増進を図ります。
さらに、発達に課題のある就学前の児童を必要な支援につなげるため、5歳児健康診査の早期実施に向けて検討、関係機関との協議を進めます。
- 幼稚園・保育所の取組
少子化が進行する社会において、こどもたちが安心して育ち、健やかに成長できる環境の整備は大きな課題です。そのため、小郡市は「こども誰でも通園制度」を令和8年度に創設します。地域社会全体でこどもを支え合い、未来を担うこどもたちへ投資する社会基盤を構築します。
様々な背景や価値観を持つ人たちが多様性を認め合い、ともに支え合い活躍する社会づくりを目指し、誰もが安心して暮らせる「共生社会の実現」は、国や地方、小郡市においても大事な目標です。
小郡幼稚園では、こども一人ひとりに柔軟に対応し、多様な教育・保育ニーズに応じた包摂的で質の高い幼児教育を地域に提供するため、隣接する児童発達支援センター「こぐま学園」との連携を強化し、インクルーシブな保育の取組を進めます。また、幼児施設審議会を踏まえ、公立幼児施設としての役割を明確にし、保育ニーズにも対応した「認定こども園」の移行について検討を進めます。
- 「未来を拓く力」を育む学校教育の充実
学校教育においては、ICT教育は県下の公立小中学校をリードする実践が進められています。ICT教育の推進を通して、児童生徒一人ひとりの状況に応じた個別最適な学びを充実させるため、デジタル学習教材を取入れた学びの環境を整え、さらなる学力の向上と主体的な学びの実現を図ります。
また、不登校児童生徒への支援を充実させるため、校内教育支援センターSSRについて、段階的に設置する学校を増やすとともに、場所や老朽化施設が課題となっている教育支援センター「りんく小郡」のあり方を含めた支援体制の整備を検討し、全ての児童生徒が安心して学べる場所を選べる環境づくりを推進します。
4.災害対策による安心して暮らせるまちづくり
頻発する浸水対策、いつ起こるか分からない大地震への備えなどに取組み、安心して暮らせるまちづくりに動き出します。
- 総合治水対策事業の展開
平成30年以降度重なる大雨の浸水被害は、市民生活に大きな不安を広げました。宝満川の水位を下げる浚渫や、堰の撤去、大雨の予想に合わせた先行排水、田んぼダムなどに取り組み、引き続き、筑後川河川事務所や福岡県県土整備部、関係自治体とも連携し、流域治水の取組を進めます。
住宅浸水被害が続いた大崎地区で、築地川の内水氾濫水を宝満川へ排水するため、令和6年度に半固定式排水ポンプを先行導入し、さらに令和7年度は固定式排水ポンプ施設の整備が完了しました。令和8年度から固定式・半固定式両ポンプ施設として出水期に備えます。
たくさんのため池を有する小郡市では、適正な管理の下、農業用水・治水の両面で活用をしています。そのうち農業用ため池として利用されなくなった「大板井堤」について、雨水調整池への転換など具体的な利活用に向けて引き続き運用方法等を検討します。
- 大規模地震災害への対策
これまで大雨災害についての教訓は重ねてきましたが、大規模震災発生時の対応は準備が遅れています。福岡県の大地震による災害想定が令和7年10月に改訂発表され、これまでの想定を大きく超えるものとなっています。初動から復旧・復興までのあり方を示したガイドラインの策定について引き続き検討を進め、あわせて訓練の実施により対策強化に取り組みます。
5.公共施設・公用施設(市役所)の整備・更新
老朽化公共施設の更新においては、単なる建替えにとどまることなく、多様化する市民ニーズと社会情勢等を踏まえて整備計画を検討し取り組んでいきます。
- 公共施設のあり方
老朽化した大型施設、給食センター、消防署、体育館の改修に着手する中で、公共施設全体の方針を定める作業を行います。第2期公共施設等総合管理計画を策定し、市民のニーズを踏まえた公共サービスの水準とあり方について協議し、将来的に必要となる施設の機能、規模を検討していきます。
- 公共施設等の整備・更新
学校給食センター整備運営事業については、9月の運用開始に向け整備を進めています。安全安心で栄養バランスがとれたおいしい給食を新しい食器で提供します。あわせて、建設地に隣接するきぼうの森の整備に取り組みます。
久留米広域消防本部により令和4年度から進められている三井消防署の建替については、令和7年度から庁舎・車庫棟建設に着手しており、令和9年度の竣工が予定されています。新消防署の竣工にあわせ、所在地名がわかる名称変更を提案しています。懸案事項である三国出張所の人員体制は、来年度1名増員と強化されます。
新体育館建設については、令和7年度に完成した実施設計に基づき、アリーナ棟建設工事を令和9年7月竣工に向けて進めます。また、令和10年度竣工予定の多目的棟建設に伴う実施設計に取り組みます。引き続き、整備に関する有利な財源の確保や整備後の運営方法について検討していきます。
新体育館建設に伴い心配される駐車場不足について、高架下駐車場を整備することで、休日などには体育館のイベントなどに使用する臨時駐車場として活用していきます。また、市役所周辺に点在する駐車場の見直しを行い、市役所来庁者の駐車場不足も合わせ解消していきます。
現庁舎は古い建物で建築から60年が経過しています。「ユニバーサルデザインの観点」、「市民サービスの観点」、「防災拠点の観点」、「執務環境、DX、セキュリティ上の観点」など様々な課題を抱えていることから、現在「小郡市庁舎建設審議会」において、新庁舎建設に関する検討・協議を進めています。
審議会の答申後は、職員や各種団体からの意見も集約し、近隣自治体の事例を参考に、新庁舎の基本方針等の策定を進めていきます。
また、市議会が設置した庁舎建設特別委員会からもご意見をいただきながら、整備計画の策定を進めます。
運動公園アスレチック広場については、令和7年度にトイレのリニューアルを実施し、令和8年度は老朽化した遊具のリニューアルを行います。こどもたちが楽しみながら発達段階に応じた運動能力を身に付けられる環境を整えるとともに、安心して利用できる公園づくりを進めていきます。
6.新たな行政運営
貴重な人材、限られた財源を効果的に適切に活用するという行政運営を目指し、総合振興計画の基本計画と実施計画のあり方を見直します。
- 行財政運営
令和9年度からスタートする第6次小郡市総合振興計画後期基本計画は、まず各所管課が作成する分野別計画を組織横断的に集約し、整合性を図った上で、取りまとめを行います。
同時に、市民が身体的、精神的、社会的な充足感や幸福感に満たされている状態である「ウェルビーイング」の実現に向けて、その指標である「ウェルビーイング指標」を取り入れ、市の現状認識や目指すべき姿を明らかにした「(仮称)ウェルビーイング推進計画」を策定しEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。客観的データ、証拠に基づく政策立案)を推進します。
そして、取りまとめた分野別計画と合わせたものを、本市の市政運営の基本計画として位置付けていきます。
毎年策定する実施計画は、市民ニーズに応じ、今やらねばならない事業の実行計画として位置付けていきます。
そして、実行すべき事業を積み上げる際、その課題解消と同種の既存事業をアップデートすることを基本とした「ビルド&スクラップ」の考え方を取り入れた実施計画としていきます。
喫緊に取り組まねばならない課題に向き合うため、毎年新たな事業の予算を計上していますが、新規事業をそのまま積み上げていけば、一般財源・担当職員が不足することは明らかです。既存事業の有効性が時宜に応じたものとなっているか5年の終期を設けて評価するとともに、同一分野の事業の優先劣後化を整理することで、有効性の高い事業に資源(限りある「ヒト・モノ・カネ」)を確保する行財政経営を目指します。
- 組織体制
庁内では、限られた人員のもと全体の業務量が年々増加する中、各課の業務量も増加傾向である一方、課によっては係ごとの繁忙期の時期的な差があるなどの状況があります。そこで、係制を廃止しグループ制を導入することで、課に属する職員は係の枠組みではなく課のすべての業務に従事することが可能となり、課全体のさらなる協業体制の強化を図りながら、効果的・効率的な組織運営や職員単位の業務量平準化につなげます。
- DX化・外部委託化による市民サービス向上
人口減少社会の中、市役所は限られた人員で市政を運営し、市民福祉の維持向上に取り組んでいく必要があります。
一方で、市の業務は増加・多様化の一途をたどっており、多くの職員が大小様々な事務作業等に追われ、本来職員が注力すべき企画や相談事業などに十分な時間を割けていない現状もあります。これらの問題解決のため、引き続きDXの推進と、民間活用を推進する「官民連携」の拡大を行っていきます。
民間活用においては、窓口業務等の民間委託の整理拡大と、主要な証明書発行窓口のワンストップ化を実施します。現在、それぞれの担当窓口を回って別個に取得していただかなければならない、住民票や納税証明書といった主要な証明の発行窓口を一本化することで、来庁者の利便性向上を図ります。
また、各課に分散しており個々で委託を行うには足りない単純作業や、公権力を伴わない定型事務などを全庁的に集約して委託する「行政事務センター」を設置します。これにより、職員が本来力を発揮すべき業務に集中できる体制づくりを行うとともに、民間のノウハウを活用した対象業務の合理化を行っていきます。
市政の情報については、広報紙、ホームページ、SNS等の媒体を活用し、市民の皆様にお届けしています。市民の皆様が情報を受け取り、そして地域へ広がり、多種多様な方向で情報交換が生まれ、市全体が動き出すことで、市の活性化につながっていくと考えています。
このように情報施策の重要性は益々高くなっており、現在、市の情報発信の指針を示した広報戦略や各媒体の効果的活用に向けた実行計画を策定しているところであり、広報戦略にもとづく取組の第一弾として、ホームページのリニューアルを行います。
7.物価高騰対策
- 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金
小郡市でも物価高騰の状況が長く続いており、特に食料品や日用品など生活必需品の価格高騰は市民生活に大きな影響を及ぼし、各世帯にとって大きな負担となっていると認識しています。小郡市の物価高騰対策については、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、適切な時期に、支援すべき対象者へ必要な事業を行うという考えにたち、令和8年度も引き続き実施していきます。
- 実施事業
各世帯に配布する七夕商品券については、1月の臨時会の承認により、令和7年度内の配布開始に向けて準備を進めています。
さらに、七夕商品券の8月期限での消費効果が続くうちに、小郡市商工会が発行する電子版プレミアム付き商品券「将軍藤ペイ」に対し、支援を行うことにより、市内店舗での消費を喚起し、原油価格・物価高騰の影響を受けている事業者を支援し、各家庭の負担軽減を進めていきます。
また、子育て世帯の負担を抑えるため、小学校の給食無償化を実施していき、中学校や保育所等の給食費の支援をしていきます。さらに、高校生の子ども医療費の助成も行います。
新しい車両が導入され、地域の重要な公共交通機関となっている甘木鉄道も燃料費や施設の電気代高騰の影響を受けています。継続運行のため、沿線自治体とともに経営を支援していきます。
以上、市政運営に臨む私の所信の一端と令和8年度の当初予算について主な施策を中心にその概要を申し上げました。
市民の皆様の御理解・御支援をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。